酒まつり開催にあたって

趣意書

コロナ禍を越えた「新たな酒まつり」

パンデミックとなった新型コロナウイルスに、東広島地域も他市町と同様に消費は落ち込み、観光客などの「交流人口」は激減したままです。2018年の豪雨と台風、2019年の台風はもちろんかなりの痛手でしたが、2020年からのコロナ禍はさらなる打撃で、特に2020年は《酒まつり》そのものの姿を否応なく変えました。
来場者を前提とした当日の会場を全て中止した「オンライン酒まつり」の登場でした。

本来、《酒まつり》は、お酒に係る文化(醸造文化)を祭りという形で発現し、交流人口を東広島市に呼び込んで地域を活性化する全国に誇る祭りです。
会場はJR西条駅の南側一帯で、ここにはイコモス(国際記念物遺跡会議/ユネスコの諮問機関)国内委員会による「日本の20世紀遺産20選」に認定された(2017年12月)酒造施設群があります。
漆喰塗りなまこ壁や煉瓦造り煙突などが形づくる町並みは、日本有数の建築物や景観などと同等の歴史的価値があると評価され、その多くは国の登録有形文化財に指定されています。
後世に引き継ぐべき重要な建造物に囲まれ、加えて現に今も酒造りが行われている酒蔵が集積しているのは他に類を見ません。

だからこそ、コロナ禍の渦中であっても《酒まつり》は継続することとし、昨年はタイトな予算と時間だったにもかかわらず「オンライン酒まつり」をやり遂げました。
しかし、残念ながら本年もオンラインをメインにせざるを得ない状況になっており、酒ひろばや美酒鍋など飲食を伴う現地会場は皆無となりました。
それでも知恵を絞って、東広島地域の未来を見通すことのできる、実際に酒文化が実感できる「Withコロナの酒まつり」、それを発展させる「Afterコロナの酒まつり」を目指したいと思います。

観光は国から市町に至るまで政策の重要な柱として位置づけられているものの、コロナ禍によって将来に向けた明確な指針を持ちにくくなっています。しかし、第5次東広島市総合計画に観光や日本酒の活用が位置付けられている以上、地域をより活性化させるという目標に揺るぎはありません。

あらゆる手立てを講じ、安全と安心を担保してコロナ時代のニューノーマルとしての《新たな酒まつり》を目指す私共の熱い思いをご理解くださいまして、今後とも変わらぬご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

公益社団法人東広島市観光協会
会  長  蔵田 憲



「想」
~おもい 酒まつりの新たな形を目指して~

新型コロナウイルスの世界的流行は従来の生活様式や価値観を大きく変え、これまで当たり前であった事に多くの制限がかかり、皆さまも様々な想いを抱かれていると思います。 

昨年30周年を迎え、東広島市を代表する祭りに成長した酒まつりは、他のイベント同様にその影響を受けましたが、これまでの「人」「水」「米」構想を基軸に、来場者や市民、そして実行委員会が一体となれる参加型の祭りをつくり上げてきた皆さんの想いを繋げるため、昨年は中止することなく、初の試みであるオンラインでの開催を行いました。

この社会の状況は、今後も急激に元に戻ることはありません。
しかしながら、実行委員会は現状に屈することなく未来に繋がる祭りを目指して、今できる新しい酒まつりの開催に向けて更にチャレンジしていきたいと思っています。

2021酒まつり実行委員長
名井崇真

今年の酒まつりには、以下の3つの方針を掲げます

  1. 徹底した感染症対策を講じ、安心と安全を担保したWithコロナ時代の酒まつりを構築します。
  2. これまでの酒まつりの伝統を踏まえつつ、従来の形にとらわれない新しい形の酒まつりを生み出します。
  3. この逆境を好機と捉え、新たな地域の発展をめざす持続発展可能な酒まつりを目指します。

失って初めて気づく今まで大事されてきた想い、こういった状況だからこそ逆境をはねのける新しい発想。
これまで酒まつりを楽しみにしていただいている来場者の方々、共に祭りをつくり上げてきた関係各所およびボランティアの方々、そして実行委員会のメンバーそれぞれの想いを形にする新たな酒まつりを全員でつくり上げましょう!